[特殊清掃]
2025年09月09日
事故物件
事故物件とは、一般的に事件や事故が原因の死、自殺、孤独死などにより入居者が部屋で死亡した物件のことをいいます。しかしその基準は各不動産仲介業者によって定められているため極めて曖昧で、かつては人が亡くなった物件はすべて「事故物件」に認定してしまう不動産屋さんも多くいました。現在でも、そのように認識している方が多いのではないでしょうか。
そこで2021年10月8日、国土交通省は事故物件に関するガイドラインを新たに制定しました。ガイドラインに法的な拘束力はないので、各不動産仲介業者が事故物件かどうかを判断することには変わりませんが、ガイドラインがあることで、現在は不動産仲介業者の「判断基準」がある程度統一されているものと考えられています。
参照:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
では改めて、事故物件とは何か
ガイドラインによると、事故物件とは「自然死や不慮の事故死以外の死」や「特殊清掃が必要になる死」が発生した物件、および「心理的瑕疵(かし)」がともなう物件のこと。以下にひとつずつご説明します。
・自然死や不慮の事故死以外の死が発生した物件
人が亡くなる原因はさまざまですが、大別すると『殺人』『自殺』『自然死』の3種類です。そのうち「自然死や日常生活による不慮の死に該当する場合」は、事故物件には当てはまりません。人はいつか亡くなるものであり、自然死の発生は特別なことではないからです。ガイドラインではこれ以外の「自殺や他殺が発生した物件」についてが事故物件と定義されました。ただし、例外として次に述べる「特殊清掃が行われた物件」があります。
・特殊清掃が行われた物件
自然死や日常生活における不慮の死であっても、例えば死後一定期間にわたって発見されなかった際には臭気や害虫を取り除くために、消臭や消毒を含む特殊清掃が必要になります。そのようなケースは「事故物件」として定義されています。我々はこのような物件の特殊清掃や原状回復を行うことが多いのですが、どんなにきれいに原状回復をしても一定期間は「事故物件」として扱われることになります。
・心理的瑕疵(かし)がともなう物件
心理的瑕疵とは、不動産取引をするうえで入居や購入の意思を左右させうる、ネガティブな事象のこと。つまり心理的に「ここには住みたくない」と思わせるような、重大な欠陥があることを意味します。例えば「火葬場・刑務所等の嫌悪施設が周辺にある」「指定暴力団等の事務所がある」といったケースと同様、「前の入居者が居室内で自殺した」といった事実は心理的瑕疵に当てはまります。