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2025年09月16日 [特殊清掃]

事故物件とは?「人の死」があった物件についての取り扱い方


事故物件とは、一般的に事件や事故が原因の死、自殺、孤独死などにより入居者が部屋で死亡した物件のことをいいます。しかしその基準は各不動産仲介業者によって定められているため極めて曖昧で、かつては人が亡くなった物件はすべて「事故物件」に認定してしまう不動産屋さんも多くいました。現在でも、そのように認識している方も多いのではないでしょうか。

そこで2021年10月8日、国土交通省は事故物件に関するガイドラインを新たに制定しました。ガイドラインに法的な拘束力はないので、各不動産仲介業者が事故物件かどうかを判断することに変わりはありませんが、ガイドラインがあることで、現在は不動産仲介業者の「判断基準」がある程度統一されているものと考えられています。

参照:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」

では改めて、事故物件とは何か

ガイドラインによると、事故物件とは「自然死や不慮の事故死以外の死」や「特殊清掃が必要になる死」が発生した物件、および「心理的瑕疵(かし)」がともなう物件のこと。以下にひとつずつご説明します。

・自然死や不慮の事故死以外の死が発生した物件

人が亡くなる原因はさまざまですが、大別すると『殺人』『自殺』『自然死』の3種類です。そのうち「自然死や日常生活による不慮の死に該当する場合」は、事故物件には当てはまりません。人はいつか亡くなるものであり、自然死の発生は特別なことではないからです。ガイドラインではこれ以外の「自殺や他殺が発生した物件」についてが事故物件と定義されました。ただし、例外として次に述べる「特殊清掃が行われた物件」があります。

・特殊清掃が行われた物件



自然死や日常生活における不慮の死であっても、例えば死後一定期間にわたって発見されなかった際には臭気や害虫を取り除くために、消臭や消毒を含む特殊清掃が必要になります。そのようなケースは「事故物件」として定義されています。我々はこのような物件の特殊清掃や原状回復を行うことが多いのですが、どんなにきれいに原状回復をしても一定期間は「事故物件」として扱われることになります。

・心理的瑕疵(かし)がともなう物件

心理的瑕疵とは、不動産取引をするうえで入居や購入の意思を左右させうる、ネガティブな事象のこと。つまり心理的に「ここには住みたくない」と思わせるような、重大な欠陥があることを意味します。例えば「火葬場・刑務所等の嫌悪施設が周辺にある」「指定暴力団等の事務所がある」といったケースと同様、「前の入居者が居室内で自殺した」といった事実は心理的瑕疵に当てはまります。

事故物件になってしまった住居はその後どうなる?

前述したような事故物件は、まず室内を使用前の状態に戻す「原状回復」を行います。通常の清掃では落とせない汚れや臭いがついてしまった場合は「特殊清掃」を行い、それでも汚れが取れない場合はクロスや床を剥がすなどの内装解体を行い、新しく壁や床を貼り替えたり設備を取り替えたりして、次の入居者が居住できる状態に戻します。

一旦事故物件となってしまった住居は、いくら元の状態に戻ったからと言って、何事もなかったかのように賃貸に出したり売りに出したりすることはできません。事故物件には告知義務の発生期間が設けられており、賃貸物件の場合は死亡案件が発生してから「おおむね3年間」となっています。売買物件に関しては告知期間の定めがなく、人の死から3年以上経過しても、告知義務は継続します。また告知義務の期間を過ぎていたとしても、買主・借主から「前の入居者が亡くなったことはありますか?」といった質問を受けた場合、不動産業者は正直に答えなければなりません。

実際、事故物件に該当してしまうと、売却価格は安くなる傾向にあり、10〜50%程度下がるといわれています。それでも不動産取引では、相手が納得したうえで手続きを進めることが重要です。告知せず、入居後に人の死があったことを入居者が知った場合、損害賠償を求められるなどのトラブルに発展する可能性があるので、事前に正確な情報を通知する必要があります。

告知が必要ないケースもある

ガイドラインでは、告知が不要なケースが以下のように定められています。


自然死や日常生活の中での不慮の死は誰にでも起こりうることであり、発見が早くて特殊清掃などを必要としなかった場合には事故物件には当てはまりません。また、病気などで物件内で家族に看取られて亡くなったケースや、物件内で倒れて搬送先の病院で亡くなったケースでも、原則として事故物件には該当しません。室内に痕跡が残らないケースでは、心理的瑕疵はないと判断されることが一般的と言われています。

ただし、トラブルによる死亡は自然死や不慮の死には当たらず、事案発覚からの経過期間に関する特定の定めがありません。また、ご近所に人の死があったことが知れ渡っていたり、救急車を呼んだことで噂になっていたりした場合、事故物件には該当しなくても買主・借家人が見つかりにくい場合もあります。「人の死があった」というだけで不安に思う人もいる一方で、まったく気にしないという人もいるので、どこまでが「心理的瑕疵」に当てはまるのか、線引きが非常に難しいところです。

「人の死」が起きた物件をなるべく高く売却する方法

これまでご説明してきた通り、「人の死があった物件」というだけで全てが事故物件に該当するわけではありません。まずは事故物件に該当するかどうかを確認し、該当しない場合は通常の相場に近い価格で売却できる可能性が高いです。孤独死など、事故物件に該当する場合、心理的瑕疵の程度が大きくなるにつれて、売却価格も低くなる傾向があり、一般的に、孤独死が近所に広く知られているケースで10〜20%、孤独死がメディアなどで報道されたケースで20〜30%、異臭がするなど部屋に影響があるケースで30〜50%下がるといわれています。

このような物件を手放す場合、以下のような売却方法が考えられます。
・リフォームをして原状回復する
・期間をあけてから売却する
・訳あり物件専門の買取業者に売却する

それぞれの方法について、注意点などをご紹介しようと思います。

・リフォームをして原状回復する



売りに出す前にハウスクリーニングなどで清掃するのは一般的に行われていると思いますが、それでも買い手がつかない場合、リフォームをしてから売却するとよいでしょう。リフォームまで必要ないと思われる物件でも、リフォームすることで心理的瑕疵をある程度、払拭できる可能性もあります。

ただし、リフォームを検討する際の注意点として、売却価格との兼ね合いを考えてから実行する必要があります。リフォーム代が高額になってしまう場合は、訳あり物件専門の買取業者へ買取を依頼した方が良い場合もあります。

・期間をあけてから売却する

もし物件の売却を急ぐ状況でないなら、ある程度期間をあけてから売却するのもひとつの方法です。事故物件であっても3年以上経てば告知義務はなくなりますし、病死などで心理的瑕疵が薄れていくのも早いケースでは、期間をあけることで相場どおりでの売却が見込める可能性があります。

その代わり、期間をあけるとその間の物件の維持に費用がかかったり、固定資産税がかかったりする点が注意点です。

・訳あり物件専門の買取業者に売却する

通常の不動産業者は事故物件の買取に積極的でなかったり、相場より大幅に低い値段での取引となるケースが多くみられます。手早く事故物件を手放したい場合は、訳あり物件専門の買取業者へ買取を依頼するのもおススメです。訳あり物件専門の買取業者は、事故物件の取扱いや運用方法に長けており、汚れがひどくリフォーム代が高額になる場合でも、そのままの状態で売却することが可能です。

ただし、買取だと、売却価格は仲介での売却よりも3割ほど安くなってしまうのが注意点といえるでしょう。


まとめ

これまで、事故物件について、また「人の死」があった物件の取り扱いや売却についてご説明してきました。「人の死があった物件」というだけで全てが事故物件に該当するわけではありませんし、たとえ事故物件であっても正しく告知やリフォーム等をすれば、売却も可能ですので、正しい知識を持つことが大切です。

「人の死」に関してはデリケートな問題であり、今後ますます高齢化していく社会の中で、「人の死の告知に関するガイドライン」もアップデートされていくものと考えられます。事故物件だからとむやみに騒ぎ立てたり、幽霊や心霊現象といったオカルトと結びつけて面白がったりせず、亡くなった方や遺族への配慮も忘れず、正しく取り扱われることを望みます。

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